どんな職業か
産業用ロボットの研究開発を行う。産業用ロボットは工場などにおいて、組立、溶接、塗装、搬送等に幅広く導入されている。ロボットは大きく分けて、工場の生産工程で稼働している産業用ロボットと、人の活動を支援するサービスロボットがある。サービスロボットは手術の支援、掃除や巡回、介護での介助、店舗の受付やフロアサービスなどで使われている。ここでは産業用ロボットを解説するが、産業用ロボットとは「自動制御され、再プログラム可能で、多目的なマニピュレータであり、3軸以上でプログラム可能で、1か所に固定して又は移動機能をもって、産業自動化の用途に用いられるロボット。」(ISO、JIS)とされている。最近は柵を設けず人間と一緒に作業をする協働ロボットの開発が多くなっている。協働ロボットは基本的には万が一作業者と接触した場合、その接触を検知することにより、動作を停止するものであるが、そもそも協働ロボットが稼働する際には、設備環境面においてセンサーなどによりロボットが作業者と接触しないよう何重もの安全策がとられている。 産業用ロボットは顧客から要求に応える形で一から作り上げるものと、既存の製品の改良や一連のシリーズとして、コンセプトやデザインを引き継いで開発するものがある。一から作る場合は顧客の要求から基本設計を行い、詳細設計、試作、試験、そして量産に入り、顧客に納品する。この一からの開発は割合としては少なく、既存の産業ロボットの性能や機能を向上させる開発が多い。どちらの開発でも協力会社と共同で行うこともある。 産業用ロボットではソフトウェアの重要性が高まっており、センサーの情報から画像認識したり、高速で正確な動作もプログラミング(コーディング)で行われている。また、顧客に導入したロボットの機能向上を求められ、ソフトウェアの改良で対応することもある。 他の研究開発ではプロジェクトチームで行われることが多いが、産業用ロボットでは機械設計を行うメカの部門、電気・電子の部門、ソフトウェアの部門等に分かれ、それぞれの部門において、チームで性能や機能の向上に取り組んでいる。 これまでにない産業ロボットが実現し、今までできなかった生産が可能になることがやりがいであり、研究開発の面白さである。 <就業希望者へのメッセージ> 産業用ロボットの研究開発はものづくりの革新に直結しています。(開発部門部長) ロボット開発には幅広い知識が必要で、様々な経験を通して、色々なスキルを伸ばしていけることが魅力です。(開発部門チーフ) ◇よく使う道具、機材、情報技術等 ROS(Robot Operating System、Linux上で動くオープンソースのミドルウェア)、プログラミング言語(C++、C#、Java、Python他)、CAD、パソコン、各種計測装置、各種試験機、各種検査装置、作業着、ヘルメット、ゴーグル
この職業に求められるもの
job tag の数値情報から、この職業で重要度が高い項目を並べています。「全職業中の順位」は、収録されている全職業の中でこの項目のスコアが何番目に高いかです。
知識
| 項目 | スコア | 全職業中の順位 | 位置 |
|---|---|---|---|
| 設計 | 3.4 | 11 / 508 | 上位2% |
| 工学 | 3.3 | 8 / 508 | 上位2% |
| 機械 | 3.2 | 5 / 508 | 上位1% |
| コンピュータと電子工学 | 3.1 | 10 / 508 | 上位2% |
| 物理学 | 2.8 | 8 / 508 | 上位2% |
| 数学 | 2.7 | 17 / 508 | 上位3% |
| 生産・加工 | 2.5 | 56 / 508 | 上位11% |
| 化学 | 2.2 | 29 / 508 | 上位6% |
| 顧客サービス・対人サービス | 1.9 | 247 / 508 | 上位49% |
| 通信技術 | 1.9 | 43 / 508 | 上位8% |
アビリティ
| 項目 | スコア | 全職業中の順位 | 位置 |
|---|---|---|---|
| トラブルの察知 | 3.5 | 104 / 426 | 上位24% |
| 記述理解 | 3.5 | 58 / 426 | 上位14% |
| アイデアや代案を数多く生み出す力 | 3.4 | 45 / 426 | 上位11% |
| 独創性 | 3.4 | 37 / 426 | 上位9% |
| 帰納的推論 | 3.4 | 29 / 426 | 上位7% |
| 記述表現 | 3.4 | 86 / 426 | 上位20% |
| 発話表現 | 3.3 | 133 / 426 | 上位31% |
| 数学的推論 | 3.2 | 14 / 426 | 上位3% |
| 発話理解 | 3.2 | 122 / 426 | 上位29% |
| 演繹的推論 | 3.2 | 87 / 426 | 上位20% |
仕事内容
- 企業、研究機関、大学などでロボット(産業用)の研究開発をする。
- 経済、産業の動向からシーズ、ニーズを検討する。
- 人間、動物、昆虫など生物の機能や活動から研究開発のヒントを得る。
- 既存のロボットから改善箇所等を検討する。
- 将来性や有用性について説明資料を作成し、組織内又は組織外から研究開発の資金を調達する。
- ロボットのコンセプト、基本設計を考える。
- ロボットの外形、デザインを考える。
- センサや駆動装置を既存のパーツから選択したり、新たに設計する。
- 新たなセンサや駆動装置の開発、製造を協力会社等に依頼する。
- パーツから試作、試験、検証のためのロボットを組み立てる。
- ロボットを制御するプログラムを開発する。
- ロボットに機械学習、深層学習を行う。
- 試作したロボットをテストし、設計通りの性能となっているか、問題点がないか検討する。
- ロボットや機械、プログラムの精度や信頼性を高めるため、改良や調整をする。
- ロボットの量産化に関して、社内、あるいは社外の企業と検討する。
- 研究開発の過程で生まれた新しい技術を特許として出願する。
- 開発したロボットや関連の技術開発に関して報告書にまとめたり、論文を執筆し学会誌などで発表する。
- 技術動向や関連する社会経済の動向に関して、大学やシンポジウム等で講義や講演をする。
- 研究開発について、外の科学者や技術者と意見を交換する。
- 研究開発について、チームメンバーや同僚と意見を交換する。
- 関連する国内外の技術動向の情報収集を行う。
なるには
産業用ロボットの研究開発には、幅広い工学の知識が求められる。大学・大学院、また高専で機械、電気・電子、制御等を学んだ者が多い。近年はAI(人工知能)を含め情報処理を学んだ者も求められている。 入職後、発注者の要求に応え、関係者から信頼されるような研究開発が行えるまでには、早くても3~4年程度、平均的には5~6年の期間がかかるとされる。 産業用ロボットは高速、高精度で作動し、信頼性、安全性が重要であり、性能向上に向けた地道な研究開発の姿勢が求められる。研究開発はチームで行うためチームワークも求められる。顧客や共同開発を行う会社から信頼されることも重要である。また、海外顧客とのやりとり、関係者との情報交換や情報収集のため英語などの語学力も必要となる。 産業ロボットの開発技術者は社内で昇進し、チームリーダー、課長等となっていくことが一般的である。独立して起業する等は少ない。
就いている人の学歴
| 学歴 | 割合の目安 |
|---|---|
| 大卒 | 0.6 |
| 修士課程卒(修士と同等の専門職学位を含む) | 0.3 |
| 高卒 | 0.2 |
| 博士課程卒 | 0.1 |
| 専門学校卒 | 0.1 |
| わからない | 0.1 |
給料
賃金構造基本統計調査では「機械技術者」として集計されています(2023年・全国)。この区分には8の職業がまとまっています。
| きまって支給する現金給与額 | 394.3千円 |
|---|---|
| 年間賞与その他特別給与額 | 1,392.8千円 |
| 平均年齢 | 41.6歳 |
| 平均勤続年数 | 14.3年 |
| 労働者数 | 41,086人 |
男女で見た給与
月額給与の推移
都道府県別の月額給与
- ≤343.9千円
- ≤357.3千円
- ≤372.2千円
- ≤392.6千円
- ≤452.8千円
この分類の人はどれくらい動いているか
ここから下は、この職業が属する「専門的・技術的職業従事者」という大きなくくりの数字です。職業ひとつずつの統計は無いため、国の調査で使われている職業分類の単位で見ています。
- 欠員率1.4%働いている人に対して、まだ埋まっていない求人の割合
- 未充足の求人179千人募集したのにまだ決まっていない人数
- 入職者の構成比20.1%1年間に仕事に就いた人のうち、この分類が占める割合
- 離職者の構成比18.3%1年間に仕事を離れた人のうち、この分類が占める割合
専門的・技術的職業従事者に入った人は、前はどんな仕事をしていたか
- 専門的・技術的職業80%
- サービス職業6%
- 管理的職業3.2%
- 事務3.2%
- 販売3%
- 生産工程2.4%
- その他2.1%
この分類に入った人のうち、20%は別の分類の仕事から移ってきています。未経験からの入りやすさをはかる目安になります。
雇用動向調査 職業別 未充足求人数・欠員率(2021年)
雇用動向調査 職業別 入職・離職者構成比(2017年)
雇用動向調査 現職職業×前職職業 別入職者数(2019年)
働き方の特徴
職場としては、民間企業、国・民間の研究機関などがある。大手企業の研究施設や研究開発部門で働いていることが多い。民間企業で働く場合、会社の就業規則により相違はあるが、実働8時間で原則、土日祝日は休みとなっている。開発のピーク時などには残業となることも多い。ほとんどが正社員であり、給与は月給制である。 産業用ロボットは欧米、アジアに広く輸出されている。国内においても少子高齢化に伴う人手不足で協働ロボットの導入が進んでいる。 センサーからの認識や動作の学習にAI人工知能の活用が始まっている。体(駆動メカ)と知覚(各種センサー)を持ち、現実世界での動作を学習するフィジカルAIは、生成AIの次の大きな波と言われる。人間と同じような形をし、人間のように万能で様々な作業をこなすヒューマノイド(人型ロボット)も話題になっている。しかしながら、今日の産業用ロボットは高速、高精度で作動し、信頼性、安全性も非常に高い。この面で現時点において、産業用途としてのAI活用は限定的だが関心は非常に高く、今後の進化や普及は未知数ではあるが大きな可能性もあるといえる。
仕事の内容が近い職業
スキル・知識・アビリティ・仕事の性質・仕事活動の187項目を標準化して、この職業とどれくらい近いかを計算しています。
- 鉄道車両の設計・開発近さ 0.918
- 自動運転開発エンジニア(自動車)近さ 0.892
- 精密機器技術者近さ 0.888
- 医療機器開発技術者近さ 0.851
- 航空機開発エンジニア(ジェットエンジン)近さ 0.819
- 造船技術者(船舶の開発・設計)近さ 0.815
- 機械設計技術者近さ 0.815
- プラント設計技術者近さ 0.790
職業情報提供サイト(job tag)/厚生労働省 職業情報データベース(独立行政法人 労働政策研究・研修機構 作成) 数値系 Ver 7.00/解説系 Ver 7.01(2026年7月30日取得)
賃金構造基本統計調査(厚生労働省)「令和2年以降 一般_都道府県別_職種(特掲)DB」を加工して作成
雇用動向調査 職業別 未充足求人数・欠員率(2021年)
雇用動向調査 職業別 入職・離職者構成比(2017年)
雇用動向調査 現職職業×前職職業 別入職者数(2019年)