どんな職業か
新しく事業を起こすこと、新しく事業を始めること。こうして設立された企業は、スタートアップ企業、ベンチャー企業などと呼ばれ、これらの企業を起こす人を起業家、アントレプレナーなどと言う。業種的には、最先端のデジタル技術やAI、バイオなどを手がける開発型ベンチャーが話題になることが多いが、それらに限定されるわけではなく、サービス、医療・福祉、飲食、小売、建設、金融、不動産など多岐にわたっている。 積極的に新しいことに取り組む活力のある企業を増やすことで経済活性化につなげ、新たな製品やサービスの開発により日本の競争力強化を進めたい政府と、起業を地方活性化や雇用創出の切り札の一つとしたい地方自治体が様々な支援策を講じている。 日本では若者ばかりでなく、結婚や子育てで家庭に入っていた女性や、転職を考える中高年、退職した高齢者などの起業も増えており、人材も業種も裾野が急速に広がってきている。しかし、世界的に見るとベンチャー先進国との差はまだまだ大きい上、起業後数年にして行き詰まることも少なくない。もちろん起業家自身の問題もあるが、これまでの支援策が、創業時の資金支援など一過性のものが多く、企業が成長過程でぶつかる問題に効果的に対応できていなかったケースもある。最近では、起業から企業として独り立ちするまで、一貫性のある統合的な支援を行うベンチャー・エコシステムの創設なども構想され、起業し、事業として成長できる環境が整いつつある。 ◇ よく使う道具、機材、情報技術等 パソコン
この職業に求められるもの
job tag の数値情報から、この職業で重要度が高い項目を並べています。「全職業中の順位」は、収録されている全職業の中でこの項目のスコアが何番目に高いかです。
重要度の高いスキル
スキル
| 項目 | スコア | 全職業中の順位 | 位置 |
|---|---|---|---|
| 読解力 | 4.3 | 165 / 498 | 上位33% |
| 説明力 | 4.2 | 184 / 498 | 上位37% |
| 傾聴力 | 4.2 | 271 / 498 | 上位54% |
| 資金管理 | 4.1 | 7 / 498 | 上位1% |
| 文章力 | 4.1 | 172 / 498 | 上位35% |
| 交渉 | 4.0 | 83 / 498 | 上位17% |
| 継続的観察と評価 | 3.9 | 92 / 498 | 上位18% |
| 合理的な意思決定 | 3.9 | 31 / 498 | 上位6% |
| 他者との調整 | 3.9 | 156 / 498 | 上位31% |
| 説得 | 3.9 | 122 / 498 | 上位24% |
知識
| 項目 | スコア | 全職業中の順位 | 位置 |
|---|---|---|---|
| 顧客サービス・対人サービス | 2.4 | 172 / 508 | 上位34% |
| ビジネスと経営 | 2.3 | 36 / 508 | 上位7% |
| 事務処理 | 2.3 | 144 / 508 | 上位28% |
| 販売・マーケティング | 2.2 | 83 / 508 | 上位16% |
| 日本語の語彙・文法 | 2.1 | 94 / 508 | 上位19% |
| 経済学・会計学 | 2.0 | 38 / 508 | 上位7% |
| 社会学 | 1.6 | 96 / 508 | 上位19% |
| 心理学 | 1.6 | 130 / 508 | 上位26% |
| コミュニケーションとメディア | 1.6 | 187 / 508 | 上位37% |
| 法律学、政治学 | 1.4 | 147 / 508 | 上位29% |
アビリティ
| 項目 | スコア | 全職業中の順位 | 位置 |
|---|---|---|---|
| トラブルの察知 | 3.2 | 278 / 426 | 上位65% |
| 独創性 | 2.9 | 125 / 426 | 上位29% |
| 発話理解 | 2.8 | 249 / 426 | 上位58% |
| 発話表現 | 2.8 | 278 / 426 | 上位65% |
| アイデアや代案を数多く生み出す力 | 2.8 | 197 / 426 | 上位46% |
| 記述表現 | 2.8 | 266 / 426 | 上位62% |
| 選択的注意(集中する力) | 2.7 | 269 / 426 | 上位63% |
| 記述理解 | 2.6 | 285 / 426 | 上位67% |
| 演繹的推論 | 2.6 | 289 / 426 | 上位68% |
| 記憶力 | 2.6 | 310 / 426 | 上位73% |
仕事内容
- 自分で新しく事業を計画し、資金を調達し、企業として存続させる。
- 自分が起こしたい事業のビジョンを描き、事業計画に落とし込む。
- 開発型ベンチャーの場合、ビジョンに向けて技術開発をする。
- 共同設立者など立ち上げ期の賛同者を募る。
- ベンチャーキャピタルも含め資金集めをする。
- 起業するに当たり、家族など身近な人を説得する。
- 企業支援を行う事業者や行政の支援を受けて、経営のノウハウを学び会社を設立する。
- 求人をしたり、管理体制を構築する。
- 協力会社や取引先となる各種業者と契約を結ぶ。
- 大学などの研究機関、製造会社、販売会社、仕入れ先などとの関係を構築する。
- 市場調査をする。
- 市場の状況などについて、顧客と情報交換する。
- 軌道に乗るまでの資金繰りをする。
- 税務・法務手続きをする。
- 会計処理・決算をする。
- 株式公開に向けて体制を整備する。
- 開発が順調にいかない場合に、開発継続か方向転換かの判断を行う。
- 事業が立ちゆかなくなった場合に、企業売却・解散・他社への身売り、出資者・従業員への対応を行い撤収する。
なるには
基本的には学歴、資格は問われない。義務教育を終えて社会経験を積み、起業して成功を収めた人もいれば、子離れした専業主婦が女性の感性を活かして新たなサービスを立ち上げたり、定年退職したシニアが経験と人脈を活かして起業するケースも増えている。公的機関やVC(ベンチャーキャピタル)を利用して資金を確保し、自己資金ゼロで起業した人も少なくない。最先端の開発型ベンチャーの場合は、大学院での研究実績をもとに「大学発ベンチャー」として設立する場合や、投資銀行やVCなど投資側から起業するケースもある。経営のノウハウについては、国や地方自治体、インキュベーター(起業支援者)などの公的・私的な支援により身につけることも可能である。 なによりも求められるのは、何をしたいのかというビジョンをもつこと、そしてそれを事業計画に落とし込み、行政や金融機関、想定取引先などに説得力をもって説明し、納得させる能力であり、順調にいかない局面でも心折れずに目的に向かって邁進する力である。もちろん実際に企業を立ち上げた後は、簿記を基本とし、企業活動とその各種数値を関連付けて理解し、管理できる能力が欠かせない。また開発型ベンチャーであれば、海外の最新の研究成果や規制の変更をチェックするために、英語の知識なども必要になってくるが、それらは必要に応じて習得していくことも可能である。 学生や専業主婦など事業の経験がない人が起業する場合、ベンチャー企業に勤めてノウハウを吸収して独立するケースや、まず小規模なベンチャーを起業して経営ノウハウなどを獲得し、それから本命の起業に移る場合もある。誰かの指示を待つのではなく、自ら、創意工夫で道を切り開いていきたい、という独立心旺盛な人に向いた仕事である。
就いている人の学歴
| 学歴 | 割合の目安 |
|---|---|
| 大卒 | 0.4 |
| 高卒 | 0.3 |
| わからない | 0.2 |
| 専門学校卒 | 0.1 |
| 短大卒 | 0.1 |
| 修士課程卒(修士と同等の専門職学位を含む) | 0.0 |
この分類の人はどれくらい動いているか
ここから下は、この職業が属する「管理的職業従事者」という大きなくくりの数字です。職業ひとつずつの統計は無いため、国の調査で使われている職業分類の単位で見ています。
- 欠員率0.4%働いている人に対して、まだ埋まっていない求人の割合
- 未充足の求人21.3千人募集したのにまだ決まっていない人数
- 入職者の構成比2.8%1年間に仕事に就いた人のうち、この分類が占める割合
- 離職者の構成比4.8%1年間に仕事を離れた人のうち、この分類が占める割合
管理的職業従事者に入った人は、前はどんな仕事をしていたか
- 管理的職業70.1%
- 専門的・技術的職業9%
- 事務7.7%
- 生産工程5.3%
- サービス職業3%
- 保安職業2.2%
- その他2.9%
この分類に入った人のうち、29.9%は別の分類の仕事から移ってきています。未経験からの入りやすさをはかる目安になります。
雇用動向調査 職業別 未充足求人数・欠員率(2021年)
雇用動向調査 職業別 入職・離職者構成比(2017年)
雇用動向調査 現職職業×前職職業 別入職者数(2019年)
働き方の特徴
起業の経緯は業種によってさまざまであるが、創業当初はかなり忙しく、時には休みなく働くケースがある。創業後の繁忙期が過ぎた後は、それぞれのライフスタイル、事業の仕方に応じた働き方が可能で、働くスタイルを自律的に決められるのが特徴である。従業員を雇用する段階になると、会社としては一般の企業と同様の勤務体制に移行していくことになるが、創業者自らだけでなく、社員が各自のイニシアティブで働けるよう、環境作りをすることが多い。 収入面では、会社の事業が軌道に乗るまでは経営の資金繰りに苦慮するケースも少なくなく、想定した収入を得られない人もいるが、そういう場合も、仕事のやりがいや家族と十分な時間が持てること等、起業に満足している人も少なくない。 経営面で見ると、特に研究開発型ベンチャーでは、研究開発段階、製品開発段階、量産開始段階で資金繰りが悪化しやすく、デスバレー(事業破綻の危機)を迎えることがある。ここで必要な公的・私的な支援を得て、タイムリーな資金調達ができるかどうかが分かれ目であり、失敗すれば倒産の危機に陥ることになる。 一方、成功して成長段階に入れば、IPOを果たして創業者利益を得ることもできる。入社してくる社員、特に転職者に対しては世間相場の給料を提示できない場合もあり、その場合、IPOを前提にストックオプションを与えることもある。 成功した事業を高額で売却し、多額の収入を得られたり、それを資金に次の起業・創業を行うこともできる。 また、起業・創業したが順調には事業が成長できず、事業の方針、内容を転換し(ピボット)、それによって、事業に成功することもある。
仕事の内容が近い職業
スキル・知識・アビリティ・仕事の性質・仕事活動の187項目を標準化して、この職業とどれくらい近いかを計算しています。
- 会社経営者近さ 0.704
- エコノミスト近さ 0.673
- ディーラー近さ 0.650
- Webマーケティング(ネット広告・販売促進)近さ 0.616
- ジュエリーデザイナー近さ 0.613
- UX/UIデザイナー近さ 0.512
- 行政書士近さ 0.505
- ピアノ調律師近さ 0.496
職業情報提供サイト(job tag)/厚生労働省 職業情報データベース(独立行政法人 労働政策研究・研修機構 作成) 数値系 Ver 7.00/解説系 Ver 7.01(2026年7月30日取得)
賃金構造基本統計調査(厚生労働省)「令和2年以降 一般_都道府県別_職種(特掲)DB」を加工して作成
雇用動向調査 職業別 未充足求人数・欠員率(2021年)
雇用動向調査 職業別 入職・離職者構成比(2017年)
雇用動向調査 現職職業×前職職業 別入職者数(2019年)