どんな職業か
産業用ロボットの保守やメンテナンス、また必要に応じて修理を行うのが仕事である。 ロボットには、生産工程等で使用される産業用ロボット、危険な環境の中で作業を代行するロボット、家事や介護等を支援する日常生活支援ロボットなどがある。ここでは主に産業用ロボットについて述べる。なお、産業用ロボットとは、自動制御によるマニピュレーション機能又は移動機能をもち、各種の作業をプログラムにより実行でき、産業に使用される機械のことを言う。 産業用ロボットの保守・メンテナンスの仕事は、ロボット稼働前の日常点検、製造ラインの機械全般を停止して行う定期点検、故障発生時に工場へ駆けつけ、迅速に製造ラインを復旧する故障対応がある。 日常点検では、機械稼働時に動作や音などの異常がないか、ボルトや部品のゆるみが生じていないか等について確認し、不具合があれば補修等を行う。 定期点検では、故障を未然に防ぐためにロボットの内部、バッテリーの消耗や精密部品の摩耗や破損の有無について確認し、部品レベルでの清掃や場合によっては部品の交換等を行うためにオーバーホールを実施する。また、故障対応は、故障原因を解明、素早く対応し製造ラインを再稼働させます。 近年、産業用ロボットの機能や性能は飛躍的に向上しているが、ロボットは精密機械であり、毎日長時間稼働させるものだけに、長期にわたって安全に使うためには定期的な保守・メンテナンスが欠かせない。労働安全衛生法の安全基準によれば、ロボットシステムを運用する事業者は、作業開始前点検、定期検査、そして点検・検査で異常を発見した場合は補修を行い、その記録を3年間保存することが義務づけられている。 日々の点検はユーザー企業の従業員が行う場合でも、定期検査や修理・オーバーホールはメンテナンス会社に依頼するのが一般的である。メンテナンス会社には、ロボットメーカー系と独立系があり、そのほかロボットを組み込んだ自動生産システムを構築するロボットシステムインテグレーター(ロボットSIer:エスアイヤー)にもメンテナンスまで手がけるところがある。 近年は、ロボットの稼働コストの最適化のため、設備状態に合わせた高精度で高効率なメンテナンスが求められており、IoTや特殊計測器など最新技術を駆使し、安定した生産稼働を実現している。 ◇ よく使う道具、機材、情報技術等 パソコン
この職業に求められるもの
job tag の数値情報から、この職業で重要度が高い項目を並べています。「全職業中の順位」は、収録されている全職業の中でこの項目のスコアが何番目に高いかです。
知識
| 項目 | スコア | 全職業中の順位 | 位置 |
|---|---|---|---|
| 機械 | 3.0 | 12 / 508 | 上位2% |
| 工学 | 2.3 | 38 / 508 | 上位7% |
| コンピュータと電子工学 | 2.3 | 38 / 508 | 上位7% |
| 生産・加工 | 2.1 | 102 / 508 | 上位20% |
| 物理学 | 1.9 | 48 / 508 | 上位9% |
| 数学 | 1.8 | 82 / 508 | 上位16% |
| 設計 | 1.8 | 70 / 508 | 上位14% |
| 化学 | 1.7 | 57 / 508 | 上位11% |
| 事務処理 | 1.6 | 315 / 508 | 上位62% |
| 顧客サービス・対人サービス | 1.6 | 326 / 508 | 上位64% |
アビリティ
| 項目 | スコア | 全職業中の順位 | 位置 |
|---|---|---|---|
| トラブルの察知 | 3.6 | 85 / 426 | 上位20% |
| 手腕の器用さ | 3.2 | 40 / 426 | 上位9% |
| 指先の器用さ | 3.1 | 42 / 426 | 上位10% |
| 演繹的推論 | 3.1 | 119 / 426 | 上位28% |
| 帰納的推論 | 3.0 | 147 / 426 | 上位35% |
| モノの見え方に関する想像力 | 3.0 | 50 / 426 | 上位12% |
| 選択的注意(集中する力) | 2.9 | 146 / 426 | 上位34% |
| マルチタスク | 2.9 | 156 / 426 | 上位37% |
| 発話理解 | 2.9 | 231 / 426 | 上位54% |
| アイデアや代案を数多く生み出す力 | 2.9 | 181 / 426 | 上位42% |
仕事内容
- 工場などの生産ラインで産業用ロボットのメンテナンスを行う。
- メンテナンスに必要なドキュメント(設計、開発、試験結果、マニュアル等)を読み込む。
- ドキュメントに不明な点、疑問点等がある場合、上司、ユーザー企業、開発会社等に問合せる。
- マニュアル等に従い日常的なメンテナンスを行う(バッテリー、潤滑油等)。
- マニュアル等に従って点検事項を確認し、生産ラインをスタートさせる。
- 生産ラインの状況を同僚と情報共有し、軽微な問題点等は同僚と協議する。
- 異常や問題がないか稼働状況を継続的に監視する。
- 異常や問題があった場合、その場所に行き、状況等を確認する。
- 異常や問題をマニュアル等に従い対処し、上司、ユーザー企業に報告する。
- マニュアル等にない問題等は上司、ユーザー企業、開発会社等と検討、協議する。
- 検討、協議に沿って、マニュアル等にない問題等に対応し、補修、調整等を行う。
- 定時に生産ラインをストップさせ、正常に停止したか等確認する。
- 生産ラインの稼働状況等を記録する。
- 生産ラインの稼働状況等を上司あるいはユーザー企業に報告する。
- 必要な補修部品、資材等を手配し、在庫管理する。
- 定期的に一時、生産ラインを止め、時間のかかるメンテナンス、ソフトウェアのアップデート等を行う。
- ロボットや生産ラインの問題点、改善箇所等をユーザー企業、開発会社等に報告する。
- 新たにロボットが導入される場合等、ユーザー企業、開発会社と協議する。
- 新たにロボットが導入される場合等の協議に従って、マニュアル等を変更し、日常の監視と点検等の変更を行う。
- ロボット量産前の耐久テストを行う。
なるには
入職にあたって、特に学歴や資格は必要とされないが、新卒の場合は、大学や高専、専門学校の機械工学・電気・電子系の学部を卒業して、ロボットメンテナンス企業やロボットSIerに入社するか、ロボットメーカーに就職してメンテナンス部門やメンテナンス子会社に配属されるというのが一般的である。ロボット産業は急成長を続けているため、開発エンジニアやシステムエンジニアだけでなく、メンテナンス要員も人手不足状態が続いている。中途採用の募集も頻繁に行われており、経験ある技術者の入職機会は多い。 産業用ロボット(定格出力が80W未満のものを除く)に関わる仕事に就く場合は、労働安全衛生規則第39条に基づいた、産業用ロボットの教示等の業務及び検査等の業務に係る安全衛生特別教育を受けなければならない。これは、ロボットの設置やメンテナンスを行う職業だけでなく、ロボットシステムを導入する企業でも同様である。 更に、新卒者や未経験者の中途採用者は、社内研修やロボットメーカーなどが主催している研修を受けて、基本的な技能や知識を身につける。その後は先輩エンジニアとペアを組んで顧客企業を回り、OJTで経験を積んでいくことになる。変化の速い業界であり、新技術や新製品も次々と出てくるので、継続研修を受けて技術をブラッシュアップしていく努力も求められる。 ロボティクス(ロボット工学)に関する知識はもちろんであるが、ユーザー企業と直接かかわる仕事なので、顧客企業に対して的確な説明ができるコミュニケーション能力も欠かせない。
就いている人の学歴
| 学歴 | 割合の目安 |
|---|---|
| 高卒 | 0.5 |
| 大卒 | 0.4 |
| 専門学校卒 | 0.2 |
| わからない | 0.1 |
| 短大卒 | 0.1 |
| 高専卒 | 0.1 |
給料
賃金構造基本統計調査では「機械技術者」として集計されています(2023年・全国)。この区分には8の職業がまとまっています。
| きまって支給する現金給与額 | 394.3千円 |
|---|---|
| 年間賞与その他特別給与額 | 1,392.8千円 |
| 平均年齢 | 41.6歳 |
| 平均勤続年数 | 14.3年 |
| 労働者数 | 41,086人 |
男女で見た給与
月額給与の推移
都道府県別の月額給与
- ≤343.9千円
- ≤357.3千円
- ≤372.2千円
- ≤392.6千円
- ≤452.8千円
この分類の人はどれくらい動いているか
ここから下は、この職業が属する「生産工程従事者」という大きなくくりの数字です。職業ひとつずつの統計は無いため、国の調査で使われている職業分類の単位で見ています。
- 欠員率1.8%働いている人に対して、まだ埋まっていない求人の割合
- 未充足の求人99.9千人募集したのにまだ決まっていない人数
- 入職者の構成比8.5%1年間に仕事に就いた人のうち、この分類が占める割合
- 離職者の構成比9.5%1年間に仕事を離れた人のうち、この分類が占める割合
生産工程従事者に入った人は、前はどんな仕事をしていたか
- 生産工程60.3%
- サービス職業13%
- 専門的・技術的職業6.3%
- 販売5.3%
- 運搬・清掃・包装等4%
- 事務3%
- その他6.7%
この分類に入った人のうち、39.7%は別の分類の仕事から移ってきています。未経験からの入りやすさをはかる目安になります。
雇用動向調査 職業別 未充足求人数・欠員率(2021年)
雇用動向調査 職業別 入職・離職者構成比(2017年)
雇用動向調査 現職職業×前職職業 別入職者数(2019年)
働き方の特徴
基本的に企業の中の職務(仕事)であり、労働時間や給与などは原則として各社の社内規定に準拠している。 定期的な点検や緊急時の対応等で、ユーザー企業を訪問するなど出先で仕事をすることが多い。大規模な点検、メンテナンスはユーザー企業の工場が稼働していない夜間、休日等に行うこともある。トラブル等の対応のために残業が発生することもある。 80W規制が緩和されて以来、生産ラインに人間と並んで作業する協業ロボットが生まれている。ロボットシステムを安心して利用するためにも、「縁の下の力持ち」的存在の保守・メンテナンスの役割は引き続き重要である。
仕事の内容が近い職業
スキル・知識・アビリティ・仕事の性質・仕事活動の187項目を標準化して、この職業とどれくらい近いかを計算しています。
- タイヤ製造近さ 0.777
- 発電所運転管理近さ 0.765
- 船舶機関士近さ 0.762
- 航空整備士近さ 0.761
- 非破壊検査技術者近さ 0.760
- 鉄道車両の設計・開発近さ 0.746
- 鉄道線路管理近さ 0.742
- 生産・品質管理技術者近さ 0.706
職業情報提供サイト(job tag)/厚生労働省 職業情報データベース(独立行政法人 労働政策研究・研修機構 作成) 数値系 Ver 7.00/解説系 Ver 7.01(2026年7月30日取得)
賃金構造基本統計調査(厚生労働省)「令和2年以降 一般_都道府県別_職種(特掲)DB」を加工して作成
雇用動向調査 職業別 未充足求人数・欠員率(2021年)
雇用動向調査 職業別 入職・離職者構成比(2017年)
雇用動向調査 現職職業×前職職業 別入職者数(2019年)