どんな職業か
酒蔵(酒造工場)で清酒づくりに従事する。 清酒は日本酒とも呼ばれる我が国独特の酒で、婚礼や上棟式など伝統的な儀式にも使われている。酒蔵で働くことから「蔵人(くらびと)」とも呼ばれる。また、蔵人が経験を重ねて就く最高の職階である「杜氏(とうじ)」は、酒造りにおける最高責任者である。 具体的には、まず原料玄米から酒造りに不要となる表層部分を除去して酒造用に精米し、洗って水に浸した後、蒸気で蒸し上げる。できた蒸米の2割を麹室(こうじむろ)に入れ、種麹(たねこうじ)を蒔いて麹菌の繁殖の状態を監視し、2日かけて「麹」にする。この麹と蒸米、水をタンクに入れ、乳酸と清酒酵母を加えて加熱と冷却を繰り返しながら徐々に加温し、純粋な清酒酵母を大量に増殖させて、酒母(しゅぼ)を造る。機械化の進んだ速醸酒母の場合で10日ほど、「生もと・山廃」という昔ながらの造り方の場合には、25~30日かかる。 できあがった酒母はもろみタンクに移し、更に蒸米、麹、水を加え、発酵をコントロールしながら徐々に量を増やしていく。この方法は「段仕込み」と呼ばれる。3週間前後かけて熟成させた「もろみ」を酒袋に入れて圧搾機にかけるか、もろみ搾り機を用いて液体と固形分に分ける。この液体が「清酒」であり、固形の部分が「酒粕」となる。清酒は更に滓引(おりびき)、ろ過し清澄にする。清澄した酒は通常60℃以上に加熱殺菌して貯蔵し、年間の出荷に当てる。この殺菌を「火入れ」といい、火入れ・貯蔵までの工程が通常の酒造りの工程となる。 その他、貯蔵された清酒が適当な熟度になったときに糖分やアルコール度などの成分を整え、ビンに入れ、再び加熱してから出荷する仕事もある。 ◇ よく使う道具、機材、情報技術等 圧搾機、もろみ搾り機
この職業に求められるもの
job tag の数値情報から、この職業で重要度が高い項目を並べています。「全職業中の順位」は、収録されている全職業の中でこの項目のスコアが何番目に高いかです。
重要度の高いスキル
スキル
| 項目 | スコア | 全職業中の順位 | 位置 |
|---|---|---|---|
| 傾聴力 | 3.8 | 336 / 498 | 上位67% |
| 指導 | 3.5 | 270 / 498 | 上位54% |
| 説明力 | 3.4 | 341 / 498 | 上位68% |
| 読解力 | 3.4 | 318 / 498 | 上位64% |
| 他者との調整 | 3.4 | 258 / 498 | 上位52% |
| 道具、機器、設備の選択 | 3.4 | 132 / 498 | 上位27% |
| 論理と推論(批判的思考) | 3.3 | 197 / 498 | 上位40% |
| 継続的観察と評価 | 3.3 | 226 / 498 | 上位45% |
| 文章力 | 3.1 | 334 / 498 | 上位67% |
| 他者の反応の理解 | 3.1 | 315 / 498 | 上位63% |
知識
| 項目 | スコア | 全職業中の順位 | 位置 |
|---|---|---|---|
| 生産・加工 | 3.1 | 3 / 508 | 上位1% |
| 生物学 | 1.9 | 44 / 508 | 上位9% |
| 事務処理 | 1.9 | 235 / 508 | 上位46% |
| 工学 | 1.9 | 58 / 508 | 上位11% |
| 機械 | 1.8 | 98 / 508 | 上位19% |
| 化学 | 1.8 | 51 / 508 | 上位10% |
| 販売・マーケティング | 1.8 | 137 / 508 | 上位27% |
| 顧客サービス・対人サービス | 1.7 | 302 / 508 | 上位59% |
| 数学 | 1.6 | 114 / 508 | 上位22% |
| ビジネスと経営 | 1.5 | 160 / 508 | 上位31% |
アビリティ
| 項目 | スコア | 全職業中の順位 | 位置 |
|---|---|---|---|
| トラブルの察知 | 3.1 | 309 / 426 | 上位73% |
| 筋力 | 2.8 | 100 / 426 | 上位23% |
| 法則に基づいた情報の並べ替え | 2.6 | 226 / 426 | 上位53% |
| 知覚速度 | 2.6 | 155 / 426 | 上位36% |
| マルチタスク | 2.6 | 266 / 426 | 上位62% |
| 色の違いを見分ける力 | 2.6 | 123 / 426 | 上位29% |
| 演繹的推論 | 2.6 | 294 / 426 | 上位69% |
| 帰納的推論 | 2.6 | 264 / 426 | 上位62% |
| 手腕の器用さ | 2.6 | 156 / 426 | 上位37% |
| 発話表現 | 2.6 | 335 / 426 | 上位79% |
仕事内容
- 酒蔵(酒造工場)で清酒づくりに従事する。
- 原料玄米から酒造りに不要となる表層部分を除去して酒造用に精米する。
- 精米された白米を洗って水に浸け、水切りする。
- 水切りした白米を蒸米装置にセットし、蒸し上げる。
- 蒸し米の一部を放冷して麹室(こうじむろ)に入れ、種麹を蒔く。
- 米麹をつくるために、麹菌の生育を監視する。
- 酒母タンクに米麹と蒸し米と水を入れ、乳酸と清酒酵母を添加する。
- 清酒酵母を増殖させて酒母を作るために、タンクの温度を変化させ、酵母の増殖を監視する。
- もろみタンクに酒母を入れ、もろみを熟成させるために麹、蒸米、水を三段階に分けて加える。
- 熟成したもろみを酒袋につめ、酒槽に並べて圧搾機またはもろみ絞り装置にかけて清酒を搾り出す。
- 清酒を清澄にするために滓引(おりびき)やろ過をする。
- 加熱殺菌のためにろ過した酒に火入れをする。
- 貯蔵された清酒を精製あるいはブレンドし、瓶詰め作業をする。
- 瓶詰めされた商品にラベルを貼る。
- ビンなどの容器の洗浄をする。
- 専用の道具や機械を使って、酒母やもろみの成分を分析する。
なるには
入職にあたって、特に学歴や資格は必要とされない。杜氏、蔵人には、特定の地域出身の就業者が多いという特色から、入職経路は縁故により杜氏集団に入ることが多い。入職すると、最初は蒸米や酒母などの各部署の補助につき、少し経験を積むと各部署を担当する係員となる。その上には作業を統括する役として三役(もろみ主任、麹主任、酒母主任)があり、杜氏を補佐して毎日の作業内容の指示、管理などを行う。全体の責任者が杜氏であり、規模の大きいところでは杜氏補佐を置く場合もある。 蒸米・麹・酒母・もろみの適否の判断など、人間の勘や経験によるところが多いため、経験や熟練に基づく判断力、観察力や洞察力が必要となる。 関連する資格に厚生労働省の技能検定「酒造技能士」がある。 清酒製造では多くは数カ月の間、寝食をともにし、様々な工程で協力して作業をするので、協調性や自分から進んで作業をする姿勢も求められる。 杜氏集団に組み込まれて入職する以外に、清酒メーカーに雇用されるルートもある。
就いている人の学歴
| 学歴 | 割合の目安 |
|---|---|
| 大卒 | 0.5 |
| 高卒 | 0.4 |
| 専門学校卒 | 0.1 |
| 修士課程卒(修士と同等の専門職学位を含む) | 0.1 |
| わからない | 0.1 |
| 短大卒 | 0.0 |
関連する資格
- 1級酒造技能士
- 2級酒造技能士
給料
賃金構造基本統計調査では「食料品・飲料・たばこ製造従事者」として集計されています(2023年・全国)。この区分には1の職業がまとまっています。
| きまって支給する現金給与額 | 251.8千円 |
|---|---|
| 年間賞与その他特別給与額 | 396.1千円 |
| 平均年齢 | 43.1歳 |
| 平均勤続年数 | 10.7年 |
| 労働者数 | 92,539人 |
男女で見た給与
月額給与の推移
都道府県別の月額給与
- ≤220.2千円
- ≤235.1千円
- ≤251.4千円
- ≤273.2千円
- ≤313.7千円
この分類の人はどれくらい動いているか
ここから下は、この職業が属する「生産工程従事者」という大きなくくりの数字です。職業ひとつずつの統計は無いため、国の調査で使われている職業分類の単位で見ています。
- 欠員率1.8%働いている人に対して、まだ埋まっていない求人の割合
- 未充足の求人99.9千人募集したのにまだ決まっていない人数
- 入職者の構成比8.5%1年間に仕事に就いた人のうち、この分類が占める割合
- 離職者の構成比9.5%1年間に仕事を離れた人のうち、この分類が占める割合
生産工程従事者に入った人は、前はどんな仕事をしていたか
- 生産工程60.3%
- サービス職業13%
- 専門的・技術的職業6.3%
- 販売5.3%
- 運搬・清掃・包装等4%
- 事務3%
- その他6.7%
この分類に入った人のうち、39.7%は別の分類の仕事から移ってきています。未経験からの入りやすさをはかる目安になります。
雇用動向調査 職業別 未充足求人数・欠員率(2021年)
雇用動向調査 職業別 入職・離職者構成比(2017年)
雇用動向調査 現職職業×前職職業 別入職者数(2019年)
働き方の特徴
酒蔵(酒造工場)に勤務する。杜氏の主な出身地は全国に点在しており、出身地の名称を冠して「○○杜氏」と呼ばれる。南部杜氏、越後杜氏、丹波杜氏、但馬杜氏や能登杜氏、広島杜氏などがあり、それぞれ出身地を中心に、近隣の各地で就労している。 酒造りは主として11月から3月までの冬季に行われるため、清酒製造で働く人の多くは農業をしながら農閑期の季節労働者として働いている。その間は、酒蔵(酒造工場)の近くの宿舎に泊まり込むことが多い。 就業者の平均年齢は、季節限定の作業者は50歳代、通年雇用は40歳代となっている(2022年時点*)。就業者は従来はほとんど男性であったが、最近では女性も参入している。若年者の参入が少なく全体として高年齢化が進んでいる。 農業の若い後継者が不足していることから、農閑期のみ清酒製造を行う形態では後継者が確保できないため、通年雇用で清酒製造を行うケースもある。実際、機械化された設備を持つ大きな清酒メーカーでは、1年を通じて酒造りが行われている。 最近では政府等によるイベント開催など、日本酒の普及・啓蒙活動を通じて輸出促進の取組が行われており、海外向けに輸出量が大きく増加している。 *日本酒造杜氏組合連合会 令和6年日社連情報 令和四酒造年度 酒造従業員実態調査
仕事の内容が近い職業
スキル・知識・アビリティ・仕事の性質・仕事活動の187項目を標準化して、この職業とどれくらい近いかを計算しています。
- 化学製品製造オペレーター近さ 0.632
- みそ製造近さ 0.606
- 非鉄金属製錬技術者近さ 0.591
- 物流設備管理・保全近さ 0.589
- 石油精製オペレーター近さ 0.582
- めっき工近さ 0.580
- タイヤ製造近さ 0.565
- 畜産技術者近さ 0.563
職業情報提供サイト(job tag)/厚生労働省 職業情報データベース(独立行政法人 労働政策研究・研修機構 作成) 数値系 Ver 7.00/解説系 Ver 7.01(2026年7月30日取得)
賃金構造基本統計調査(厚生労働省)「令和2年以降 一般_都道府県別_職種(特掲)DB」を加工して作成
雇用動向調査 職業別 未充足求人数・欠員率(2021年)
雇用動向調査 職業別 入職・離職者構成比(2017年)
雇用動向調査 現職職業×前職職業 別入職者数(2019年)